2020年09月15日

ウィーン国立歌劇場 エレクトラ

Musikalische Leitung       Franz Welser-Möst
Inszenierung                  Harry Kupfer

Klytämnestra                  Doris Soffel
Elektra                           Ricarda Merbeth
Chrysothemis                  Camilla Nylund
Aegisth                           Jörg Schneider
Orest                              Derek Welton

Salzburgでお見事な演奏を聴かせてくれたウィーンフィルとWelser-Möstの組み合わせ。いつものピットに入りルーティーン感が出たのか、Salzburgよりは少し荒かったですが、やはり細部までクリアに聞こえ、音が厚いながらも見通しが良く、お見事だったと思います。

ただ、Jordanの蝶々夫人を聴いた後だと、余計Welser-Möstのあっさり感や美しすぎる感が気になります。Jordan指揮のウィーンフィルはすごく鋭くって荒いところもありびっくりしましたが、それでも音楽にドラマがあり、それも陳腐なメロドラマばかりにはしません。Welser-Möstもその点、どちらかというとJordanに近く、比較的感情的になりすぎるのを嫌う傾向にあるかと思いますが、劇場でドラマを観ているというよりは、シンフォニーやコンサートでの音楽を聴いているように感じます。以前と演出も違うのに、いつも聴いているElektraだなあ、という感じです。

Jordanファンとしては、彼の音楽監督としてのデビューより、前音楽監督のElektraのほうが良かったらちょっとなあ、と心配でした。正直、オケの完成度としてはElektraの方が高いと思います。ただ、Jordanは今までと全く違った演出に合った違う蝶々夫人を聞かせてくれました。2012年のバイロイトのParsifalと2018年のパリのParsifalが全然違うのでも明らかなように、Jordanは演出によって全く音楽を変えます。その能力がやっぱり今回も明確に出ていましたし、同じオケの音を二人の指揮者で聴いてみると、今後の発展の可能性がよりあるのはJordanかなあと思います。完全にファンのひいき目ですが。

音楽の助けがないので、演出の良さもあまりわからずじまいでした。Kupferの演出は、余計なものがなくて良いかと思いますが、指揮者、役者にそれなりの力量がないと、ただセンスのよいセット、というぐらいにしか、素人の私には見えません。ただ、ElektraとChrysothemisを対照的にする演出が多いような気がしますが、こちらはより姉妹として近い感じがして新鮮でした。

歌手は、軽めの声でどちらかというとかわいらしいMerbethElektraに比べると、貫禄のあるNylundChrysothemisが、ちょっと場を盗んでしまったような気もします。二人ともライブでよく聴く機会がありましたが、Nylundの方が、声が艶やかで伸びがあるといつも感じていました。でもこれは好みの問題でしょうか。

音楽監督だったころに比べると、舞台に上がってきたWelser-Möstは随分と歳をとったように感じました。随分と時間が流れたのだなあ、と感じます。色々文句も書きますが、それでもやはりWelser-Möstは確かな指揮者と思いますので、今後また度々ウィーンで振ってほしいものです。Welser-MöstとJordanが最近出版した本を、はじめだけ試し読みしましたが、二人とも、なんか少し似ているような気がします。

posted by Juri at 23:05| Comment(0) | オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください